以前に中小規模の駅を発着とする86区間が廃止された新幹線回数券ですが、さらに今度は主要駅同士を含む16区間の廃止が決定しました。
廃止は来年3月末になる予定です。
https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000040927.pdf
16区間廃止のリリース PDF注意
https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000041022.pdf
以前発表された86区間と今回の16区間
すでに今月末の廃止が決定している86区間は、東京~新神戸のグリーン車用や東海道新幹線内の短距離区間など、利用実績が少ないと思われるものが廃止となりました。
それに加えて今回廃止の予定が発表されたのは、東京から名古屋、京都、新大阪といった主要区間の指定席用など、需要自体はあると思われる区間です。
とくにグリーン車用の新幹線回数券(東海山陽)は、これで全て廃止となる見込みです。
代替サービスは?
まず、はっきり言って新幹線回数券は「安い商品ではない」です。
現状でも、EX予約から割引きっぷを購入したり、普通乗車券か往復割引乗車券にe特急券をつけるほうが安く、多少きっぷに心得がある人であれば旅行会社のプランから安く抑えることもできます。とくに券売機受け取りが可能になった現在では、JTBの宿泊プランや東海ツアーズのぷらっとプランや日帰りプランは前日でも予約が可能なため、旅行会社を通すデメリットはほとんど無くなってきています。
例えば、すでに廃止が決まった86区間、新神戸~東京をグリーン車で行く場合だと、
- 新幹線回数券6枚綴り 118,860円→1枚あたり19,810円
- EX予約グリーン早得 1回あたり14,970円(一部のぞみ号、全てのひかり号)
- JTB宿泊プラン最安値 片道あたり15,500円~(のぞみ号+浅草地区宿泊)
となり、回数券はむしろ割高になってきます。
また今回廃止となる16区間で、例えば東京~新大阪を指定席で行く場合には、
- 新幹線回数券6枚綴り 83,640円→1枚あたり13,940円
- EX予約/EX早得21 1回あたり13,620円/1回あたり11,200円
- JTB宿泊プラン最安値 片道あたり13,000円~(のぞみ号+浅草地区宿泊)
と、価格的にはどんぐりの背比べになってきます。
全区間計算したわけではありませんが、このように以前の86区間は「回数券が金銭面で勝負にならない区間」、今回の16区間は「回数券の利便性が他の選択肢に代替できる区間」と言っても良さそうです。
このため、JR東海としても改めて代替サービスを設定することは無さそうです。
今後の影響
JRとしては個人の利用についてはEX予約などで代替してもらうことを想定していると考えられますが、ビジネスにおいては経費精算の際に影響があるかもしれません。たとえば回数券を前提としている会社においては、規定の変更が必要になってきます。
また、回数券では自由席用が存在しますが、EX予約早得やJTBなどのプランでは基本的に指定席になるため、飛び乗って安い設定があまりありません。e特急券(自由席)と普通の乗車券で代わりにはなりますが、この場合はクレジットが必須のEX予約への加入が必要になってくるため、人によっては難しいでしょう。自由席を使って好きに乗りたいという人には、値上げになってくる区間も存在すると思われます。
ただ普通に使われるであろう東京~新大阪間など、主な区間の価格面では、やはり回数券はそんなに安くはありません。さらに山陽新幹線区間では、コロナの影響もあるとは言え、「近トク1・2・3」など旅行会社や旧来のネット商品でカバーしきれなかった需要を取り込むような切符も出てきています。
これからは「どこを使えば安い」といったお客さん側の知識とネット予約を利用することで、JR側のコスト削減とサービス維持を両立していく流れが強まってくるのかもしれませんね。